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1台55万円のパワーヘルスに疑問 「血液がきれいになる」は違法か 社長の博士号詐称の疑いも 原価は1台1万3500円? |
家庭用電位治療機という「パワーヘルス」の無料体験会場が大賑いだ。連日100人くらいが柳田の国道沿いのプレハブ会場に通い、1回25分間の通電体験を重ねている。「治った」と確信して1台55万円で購入する人もどんどん増えているが、4月18日には消費者庁がヘルス社の本社や全国の営業所に対し、誇大広告の疑いで立ち入り調査を行った。「効く」と確信する人もいる一方で、同社への疑惑も深まるばかり。情報を整理した。
●「先生」
パワーヘルスの無料体験会場は当初、郷ノ浦町の大手スーパーの駐車場脇にオープンしたが、トラブルもあって3月に柳田の国道沿いに移転して再オープンした。
記者はある体験者から「信用していいのか覗いてくれ」と依頼され、会場に向かった。プレハブの会場に足を入れると、椅子が18席並ぶ。椅子に座ると座席には絶縁シートが敷かれ、金色に輝くパワーヘルス=写真上=から通電する仕組みだ。
無料体験は1回25分間で、客は5分間の休憩時間をはさんで総入れ替えになる。通電中の25分間は「健康指導員」のセールストークを聞くことになる。
この指導員を客は「先生」と呼ぶ。しかし指導員はヘルス社の社員ではなく、出来高払いの契約で働くだけ。体験会場の借地借家料や水光熱費まで含めて全部が個人負担だから、売り上げが少ないと大赤字になる“背水の陣”だ。
●万能治療器?
指導員は滑らかなトークで効果を強調する。「壱岐の○○の社長の○○さんは腰痛が治った」「○○○○子さんは20年30年苦しんだ神経痛がほとんど無くなった」「しみが取れた女性がいました。○○さん。○○町の人。99%とれたと言われました」と続く。
記者の横に座っていた高齢の女性に聞くと「1カ月以上通ってるけど肩こりがきれいに良くなった」と満足気な表情だ。
●効いた?
「Aさんは脊椎管狭窄症で5月に手術が決まっていたのが、良くなって手術不要になった」という話に、本人を訪ねた。
手術が不要になったという話は本当だった。本人は「血流が良くなったからだろうか。姿勢も前かがみになっていたのがスッと伸びた。夜ぐっすり眠るようになって血圧も高かったのが安定している」と詳しく説明してくれた。
しかし、よく聞くと体重を5`ほどダイエットしたという。それなら体重が軽くなって腰の負担も軽くなり、よく歩けるようになって睡眠も血圧も改善したという仮説も成り立つかも知れない。とはいえ、本人は効果があったという実感を持っている。
夫婦で通っている別の夫婦も訪ねてみた。腎臓に病気のある夫は「数値が改善された」といい、偏頭痛で針が刺すような痛みが度々あったという妻は「痛みが消えた」と話す。
効いているとも効いていないとも断定は難しいようだ。壱岐会場の指導員に「なぜ臨床の統計を出さないのか? その結果を発表すればはっきりするではないか」と迫ると、「莫大な人数が要りますし、お医者さんのやっかみもあります」が回答だ。体験中は「毎日、全国で5万人の人がパワーヘルスを体験しています」と強調していたことと矛盾するようだ。
●違法トーク
消費者庁が同社に立ち入り検査をしたのは、表示法違反の誇大広告の疑いだ。
パワーヘルスに対し厚労省が認めた効果は、薬事法に基づき「頭痛、肩こり、不眠症及び慢性便秘の緩解」に限定されている。それを様々な病気が「治る」と宣伝することが違法との疑いだ。
壱岐会場での指導員のトークも「全身の血液がきれ〜〜いになります」と声を張り上げ、「ほとんどの病気の原因は血液の汚れから来ます」と説明した。しかし、ヘルス社自身も加盟する「社団法人日本ホームヘルス機器協会」の発行する「家庭向け医療機器等適正広告・表示 ガイドU」を見ると、36〜37ページに「不適切事例」として、「血液がきれいになる」を挙げ、「効能効果の範囲を超えているので使用できない」と明記されている。壱岐の指導員にこの点を質すと「言ったかも知れないし言わなかったかも知れない」とごまかした。
パワーヘルスを信じて購入済みの男性も「座るだけで血がきれいになるわけがない。本当ならノーベル賞ものだ」と疑問を口にした。
●死亡事故も
疑惑は広がる。インターネット上で、セルフ社の社長である古谷久博士の博士号は詐称だという指摘が広まっている。アメリカのパシフィック・ウエスタン大学で取得したというが、同大学は政府が認定した大学ではなく、既に消滅しているが、誰にでも1万ドル程度で学位を売る「学位工場」だったというのだ。本当なら称号詐称の罪(軽犯罪法第1条15項)に当たる恐れがある。
ヘルス社本社に問い合わせると、社長の学位がパシフィック・ウエスタン大学のものと認めた上で「私自身も後で入社したのでよく分からない」という。記者が「会社としての反論は無いわけですね?」と確認すると、「なんとも言えない。分からない」と答えた。
他にも質問した。厚労省の公式ホームページに05年〜06年の資料である「医療機器不具合報告」がある。その一覧の中に、パワーヘルスPH14000の「健康被害状況」として「死亡」という記述があるのだ。しかし、回答は「立証されてはいない」というだけにとどまった。
●原価の37倍
なぜ1台55万円もするのか、という素朴な疑問を調べた。
パワーヘルスを製造しているのはユタカ電機。電源装置や電子部品を作る年商58億円のメーカーだ。
そして以前にパワーヘルスの健康指導員を務めていたが良心の呵責に耐えかね辞めた男性が「パワーヘルスは1万個のロットで作られます。1万個作るのに1億3500万かかるそうです。つまり、ひとつ当たり1万3500円が製造原価」と暴露した。
記者はパワーヘルスの特許の全文を入手して分析したが、結局、コンセントからの交流電気をいくつかの抵抗の組み合わせで変化させるだけの話で、高価になる理由は見い出せなかった。
現実に、パワーヘルスはインターネット上で中古品の専門店まであり、大量の中古品が保証つきで売られている。会場で「効く」と信じ購入したが、自宅ではすぐ使わなくなり、安く売り飛ばす人が多いというのだ。
安いパワーヘルスPH14000は、4万9千円。売った人はそれよりずっと安い値で手放したことになる。
●似非科学
壱岐会場での説明も全国どこでも、「マイナス電子75%とプラス電子25%の電子を使って治療しています。生体電子と同じです」と力をこめる。科学の常識を逸脱し、中学生や高校生の使う物理の教科書を否定するような暴論だ。人間の体には4〜5ボルトの電位があるというが、それでは人間の体で電灯が点くような話になる。お年寄りをターゲットにしているので、似非科学がばれないとでも考えたのだろうか。
ヘルス社のホームページを開こうとしても「大変お騒がせしていることをお詫び申し上げます」などという短い文章が出るだけで開けないようになっている。
本社に聞くと、消費者庁の立ち入り調査が入ったが、その結論が出るまで早くて3カ月。「同庁の判断が出るのを待っている」と答えるのみだ。
25分間のトークの中で「大相撲の懸賞数は当社が日本で2位」という自慢を3回繰り返したが、今場所では懸賞はゼロの模様だ。(種田拓)
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300円のストラップが繋いだ手紙 壱岐の小学生から石巻のおばちゃんへ 販売は1千個を超す |
今年3月末、石田町の川本孝雄さん(川本機工)は石巻市の津波被災地にボランティアに出掛けた。公的ボランティアセンターでの活動とは大きく違い、民間支援団体での活動はギリギリの厳しいもの。そこのプレハブの宿舎でふと目にしたのが、「浜のおばちゃん」と書かれたフクロウや貝の300円のストラップだ=写真上。石巻市雄勝町桑浜の住所と電話・ファックスの番号がある。
桑浜は岬の突端近くにある小さな入江に面した漁村だ。児童74人が犠牲となった悲劇の大川小学校から南東に約10`の位置にある。急傾斜が海近くまで迫り平地はわずかなため、津波での全壊は7戸にとどまった。しかし、小舟で沿岸のウニやアワビ、ワカメなどを採って生計を立てていたのに、津波で舟を奪われた。37戸中34戸が舟を失った。舟を買う補助金も蓄えも無く途方に暮れる中で、「浜のおばちゃん」たちが「何かしないと」と集まり、古布で小さなふくろうのストラップづくりを始めた。とはいえ「売る場所が無い」という現実の中で、ボランティアの宿舎に置いてもらったのだった。
事情を知った川本さんは10個購入した。帰途、福岡市の行きつけのスナックに寄ると、経営者の60代の女性が「私は体が弱くて被災地には行ききらんけど、これを売るのなら私にもボランティアができる。生きがいが出てきたわ」と身を乗り出した。追加注文が50個、また50個、さらに50個と続き、その後「学園祭で数百個売れた!」と止まる所を知らない。この女性は「浜のおばちゃん」に連絡し、ふくろうの材料に布が必要と分かると、親の形見の着物を送りおばちゃん達の胸を打った。
一方、川本さんの世話で壱岐に来島を重ねている童謡歌手の沖吉けい子さんは昨夏、石巻市の仮設住宅の集会所など3カ所で歌った経験があった。桑浜の「おばちゃん」たちの活動を聞いた沖吉さんは発表会などでストラップの販売に乗り出した。ケーナとシンセサイザーの熊本のデュオ「ビエント」もコンサートで100個を売り切った。
郷ノ浦の八日市。川本さんが現地の写真展示を含めて販売所を出すと=写真下、親子連れを中心に話に耳を傾ける人が多く、1日で160個が売れた。そしてその夜、浜のおばちゃんから川本さんに泣きながら電話が入った。「今ね、壱岐の小学生の女の子2人から励ましの手紙がファックスで届いたんですよ! 力が出ますよ! 明日、みんなに早く見せたい!」
手紙を出したのは霞翠小の4年生と2年生の姉妹だった。「はまのおばあちゃんへ」と題した手紙は「わたしは、ふくろうのストラップを買いました。上手にできているなぁとかんしんしました。これからもお体に気をつけて元気に長生きしてください。あと、じしんたいへんだと思いますががんばってください」と続く。
「浜のおばちゃん」代表の女性に電話すると、「ファックス見たとたんに涙がポロポロ出ちゃって、何て有難いんだろうって、疲れが取れて勇気が出てきて」と話しながら、再び泣いていた。壱岐の小学生の心は遥か宮城県の被災者まで、しっかりと届いていた。そして川本さん経由のストラップの販売は1千個を超えた。
◇ ◇
川本さんに現地の状況を聞くと「仮設住宅も狭くて寒くてひどいが、在宅の被災者はまるで忘れられた存在になっている。支援物資も募金もボランティアも、届かないまま放置されている」と腕を組む。「浜のおばちゃん」代表の女性も「うちに届いたのはランタン1個と、米やティッシュの入った箱1個だけ。家が流された人はここに住んでないからと、その箱ももらえなかった。5千円でも1万円でも、なぜ配ってくれないのか」と溜め息をつく。そして「家が一部損の人には支援はゼロなんですよ!」と訴えた。
全国から集められた義援金はどう使われているのか、国や自治体の支援策はなぜ行き届かないのか。代表の女性は「歯がゆいくらい悔しい思い」と語った。
島内で「浜のおばちゃん」のストラップを販売しているのは、現在はスーパーイチヤマ(レジ奥の壁)、花椿、郷ノ浦港ターミナルの丸一水産、壱岐署向かいのビル2Fの食事処・漁屋です
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論説 選挙はがきやめ選挙公報を はがき200万円・公報なら6万3千円 当紙編集長 菊田光孝 |
前号での「選挙はがきを廃止し選挙公報を」と言う提案に賛同意見が多数寄せられた
立候補者が選挙告示後に文書で行うことができるアピールには、選挙公報と選挙はがきがある(今回からインターネットも一部解禁)。壱岐市では選挙公報を発行してはいないが、どうやら特段の理由や判断があったわけでなく、「前例どおり」を踏襲してきただけのようだ。
選挙公報は、全候補者に同じ大きさの枠を提供し、本人が書いたとおりに公費で印刷し、そして全世帯に配布される。枠の中に政策をびっしり書くのも、写真を大きく入れるのも、自由だ。現職と新人合わせた全候補者が紹介されるので、有権者にとっては一度に経歴や政策などを比較できる大きなメリットがある。
これに対し選挙はがきは候補者負担での印刷であり、カラー印刷など「華美」を競い易く、印象優先になって、政策は後回し気味が多い。そしてあて先は候補者が選ぶから、たくさんのはがきをもらう有権者もいれば、ゼロの人もいる。全員分が届くことはまず無く、政策の比較はできない。
公職選挙法で頒布が認められている選挙はがきは、衆院選の小選挙区や知事選で3万5千枚、市長選(政令指定都市以外)や県議選で8千枚、市議選では2千枚(前号で800枚としたのは町村議員で誤り)が上限だ。印刷代は候補者の負担だが、郵送代金は公費(市単独予算)で賄われる。7月の市議選に出馬表明している20人が2千枚の葉書を出したとすれば、費用は2百万円になる。市選管によると、定員20人に21人が立候補した前回の市議選では、合計で3万4670枚の葉書が出され、市は郵便料の173万3500円を負担した。
一方、選挙公報にかかる費用を試算すると、その費用ははるかに安価だ。候補者1人につき、はがきの2倍近い広いスペースを取っても、島内の1万1千世帯分の印刷代はわずか6万3千円で済む(当紙サイズのタブロイド判4面モノクロ印刷の場合)。選挙はがきの30分の1以下だ。
議会内部からも「はがきは効果も疑問だし宛名を書くのも大変。全戸配布の選挙公報なら手間が省ける」と発行を望む声が上がっており、「どうしてもはがきの継続を」という声は聞こえない。
平等な判断材料となる選挙公報を作らないのは、有権者に候補者を選ぶ機会を与えないのに等しく、選挙制度の不備とすらいえよう。実現には市議会で選挙公報発行条例を作るだけのことだ。来月6月の定例市議会で議員が条例案を提案し可決すれば、今回の7月の市議選からの発行に十分間に合う。
6月議会での議会の判断が注目したい。
| ● 紙面より |
◇好天の八日市に1万人
◇メガソーラー 追いこみ
◇壱岐高ホタルマップ
◇初夏彩るハマヒルガオ
◇東京駅にウニレストラン出店
◇何でも相談室
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